2013年11月7日木曜日

野口英世の母親シカの手紙

■母シカの言葉

野口英世の母親シカは、学問も無く、字が書けなかった。
息子に一目会いたさに、60歳にして初めて字を習い、囲炉裏の灰に指で字を書く練習をしながら、この手紙をしたためた。

自分の不注意で、大きなハンデを負わせてしまった息子の無事を祈り続けた母シカの気持ちが迫ってくるような文面。


 おまイの。しせ(出世)には。みなたまけ(驚き)ました。
 わたくしもよろこんでをりまする。
 
 なかた(中田)のかんのんさまに。さまにねん(毎年)。 
 よこもり(夜籠り)を。いたしました。

 べん京なぼでも(勉強いくらしても)。きりかない。
 いぼし(烏帽子:近所の地名)。ほわ(には)こまりをりますか。
 おまいか。きたならば。もしわけ(申し訳)かてきましよ。

 はるになるト。みなほかいド(北海道)に。いて(行って)しまいます。
 わたしも。こころぼそくありまする。
 ドカ(どうか)はやく。きてくだされ。

 かねを。もろた。こトたれにもきかせません。
 それをきかせるトみなのれて(飲まれて)。しまいます。

 はやくきてくたされ。

 はやくきてくたされ

 はやくきてくたされ。

 はやくきてくたされ。

 いしよの(一生の)たのみて。ありまする

 にし(西)さむいてわ。おかみ(拝み)。
 ひかし(東)さむいてわおかみ。しております。

 きた(北)さむいてわおかみおります。
 みなみ(南)たむいてわおかんておりまする。

 ついたち(一日)にわしをたち(塩絶ち)をしております。
 ゐ少さま(栄晶様:修験道の僧侶の名前)に。ついたちにわ
 おかんてもろておりまする。

 なにおわすれても。これわすれません。

 さしん(写真)おみるト。いただいておりまする。(神様に捧げるように頂く) 
 
 はやくきてくたされ。いつくるトおせて(教えて)くたされ。
 これのへんちち(返事を)まちてをりまする。
 
 ねてもねむられません

(明治45年(1912年)母シカがアメリカの英世に宛てた手紙)

0 件のコメント: