2014年5月15日木曜日

ショ-トショート

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私はいつものことながら、世界情勢の不穏なのを感じ取って、先々の準備をしていた。
米ソの冷戦がなくなったとはいえ、クリミア半島近辺のウクライナ情勢が緊迫感を増してきたからだ。

やがて、心配していた通り、ロシアとEUの間で、小競り合いが起きた。
そのうち、まさかと思ったNATOまで、紛争に加担してきた。

プーチンが先に手を出したのだが、経済封鎖だけではままならず、EU側がしびれを切らしたものと思われる。NATOまでEU側についたとなれば、紛争はすぐに収拾に向かうものと思われた。

だが・・・・・・それは甘かった。ロシアの核がヒロシマについで世界でも稀に、実践に使用されたのだった。
地域紛争で収まるべきものだったのに・・・
第3次世界大戦の勃発だ~~~っ

わたしは、かねてから掘っていた地下壕に缶詰を3年分用意して、放射能にも耐えうるくらいの表土を、地下深い穴の上に自動的にかぶるように人口土砂崩れ発生装置を作動させた。

フィルターつき空気取り入れ口も用意した。
3年分のニッカド電池に貯めた蓄電池の電源も確保してある。
地下深くから放射能汚染のない水を汲み上げるポンプ用の電源分も計算してある。

そうなのだ。私は核戦争が世界中を巻き込んだのを確認して、最早これまでと思い、地下に潜ったのだ。食料が缶詰だけなのは我慢するしかない。私としては万全を期して、生存策というか生き延びる策を講じたつもりだ。人口土砂崩れを起こした以上、あと3年間は、計画的に食料で体にエネルギーを補充しながら、地上に向かって、脱出用の穴を掘るしかない。

3年も経てば、浴びてもすぐには死なない程度の放射線濃度に、薄まっているはずなのも計算済みだ。私に手抜かりはないっ。3年で地表に到達できる・・・・・

<この男は、独りだけ助かろうと用意周到、準備をしていたようだ。だが数分後、この男の叫び声が、他には誰もいない穴の中で無情にこだました・・・>

「しまったぁぁぁぁ~~~っ、缶切り忘れたぁぁぁぁ~~~~っ・・・・・・・・・」


 

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