2014年1月29日水曜日

『編み物をする少女』 1879年

アカデミックな画家 ブグロー 

ブグロー(William Adolphe Bouguereau, 1825 - 1905)は、フランスの画家。
ミレーよりちょっと若い。
19世紀フランスのアカデミズム絵画を代表する画家で、神話や天使、少女を題材とした絵画を多く残した。

19世紀以前のフランスの画家の出世コースは、国立美術学校で学び、ローマ賞を得て公費でイタリアに留学し、サロンに毎年出品し、美術アカデミーの会員となり、エコール・デ・ボザールの教授になるというのが典型的なパターンであった。

ブグローはこのような当時の画家の絵に描いたようなエリートコースを歩んだ画家であった。

印象派が生まれた19世紀末のフランス画壇において中心を占めていたのはラファエロ、プッサンらの系譜に連なるアカデミスムの絵画であり、ブグローもその一員であった。

20世紀に入り、印象派、ポスト印象派、キュビスム(立体派)などのモダニスムの台頭とともに、これに対抗する旧勢力としてのアカデミックな絵画は等閑視されるようになり、やがて美術史から忘れ去られた存在となった。

しかし、20世紀末頃からアカデミスム絵画を再評価し、美術史の上で正当に位置付けようとする動きが高まり、ブグローについても再評価がなされるようになった。

ミレーと似たような画風で、生前評価が高かったのに、印象派の時代、革新的な画家たちからは、さほど認められなかった。

羊飼いをしながら、編み物をするというのは当時のフランスの少女達の代表的な光景だったのかも知れない。


この絵はいま、どこに常設してあるのでしょう?
パリのオルセー美術館だとしたら可哀想です。

印象派の絵の中では、その人気に圧倒されて、このようなアカデミックな絵画は色あせて見えてしまうでしょう。しかし、素敵な絵であることは確かです。
ブグローの5人の子供のうち、4人は彼よりも先に亡くなりました。


 

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