2013年12月23日月曜日

ゴッホは何が気に入って広重の絵を模写したか

ゴッホがどうして広重の名所江戸百景「大はしあたけの夕立」を模写したのか?

贋作を作るのと、絵を模写するのは意味合いが違う。

贋作を描く場合は、出来るだけ本物に似せて描く・・・という意識が働くので、ありとあらゆる手段が講じられると思うが、自分の描画練習ということでの模写ということであれば、描画方法を試したりすることが目的なので、最終的な似ている似ていないは、描画方法の良し悪し(?)判定に利用できるものの、似ていなくてもそれはそれでいい。

似せて描くのが目的ではなく、模写しようとする本物の雰囲気に近づける為の様々な「描画方法」を試すことが目的なのだろうから。

しかし、ゴッホは純粋に広重の絵の何かが画期的で、素晴らしいと感嘆したからこそ模写してるのだと思う。

ゴッホは何に惹かれたのだろうか?

まったく私のオリジナルの想像だが、素人目に、①画面を大胆にも斜めに区切る橋の構図、②カラバッジョみたいに陰影をつけず、奥行感を極端になくした平坦な描き方、③ありえるはずのない輪郭線をきっちりと描く、西洋絵画にはなかった描き方、④普通の画家なら描きたいとは思えないような雨の中の景色(テーマ)・・・どれもこれもがゴッホにとっては斬新でびっくり仰天するような味わいがあったのではないだろうか。

①当時までの西洋画では机や橋は真横から描くとかちょっとだけ斜めからとか、広重に絵の様に大胆な構図で描くことはなかった。しかも鳥瞰図のような通常ではありえない位置からの目線だ。

②カラヴァッジョが光の陰影を強調する描き方で偉大な画家として尊敬されていた西洋では、遠近感のない描き方は少数派だった。

③輪郭線は色の違いのところで自然にあるもので、黒々とした線で輪郭をことさら強調して描くことは少なかった。

④雨を好んで描くというか、モチーフも宗教画とか肖像画とか風景画とかが主で、庶民の日常の生活風景(風俗)をしかもよりによって天候が雨の時に描くなどということは少なかった。

 

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