2014年8月29日金曜日

転載 フィンランドの大腸がん 発生率低い

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脂肪のとり過ぎと関係したがんの代表は大腸がんと乳がんです。どちらも急速に増加しており、食生活の欧米化が原因の一つと考えられます。

     大腸がんによる死亡率は1991年度では胃がん、肺がんに次いで第三位。二十一世紀になると胃がんより高くなることが予測されています。


1968年約3,400人、1982年11,000人、1991年度には約26,000人が大腸がんで亡くなっており、信じられない増加スピードです。胃がんや肺がんは男性に多いのですが、大腸がんは性差のないことが特徴です。

     脂肪摂取量の多い欧米でどうでしょうか。1989-1990年の統計をみると、男性の大腸がん死亡率(十万人当たりの死者数)は旧ドイツが35.6でトップ、続いてイギリス34.2、スウェーデン30.0、フランス28.9、日本は21.1で欧米並み。経済状態の良くなかった旧ソ連での死亡率は14.8で日本以下です。女性の場合でもほぼ同じです。なお、中国は6.9と報告されており、脂っこいと考えられている中華料理を見直す必要がありそうです。


     興味ある研究があります。フィンランドの人たちは脂肪摂取量がアメリカとほぼ同様ですが、大腸がん死亡率はアメリカが24.0に対しフィンランドはその半分以下です。そこで、比較研究が実施されました。際だっていたことは、フィンランドでは繊維成分の多い食事をとっていたことでした。


このため、便通の回数は一日平均1.9回、ふん便の量は約三倍であることが解明されました。
 さらに、脂肪の多くを米国では肉から、フィンランドでは乳製品からとっていました。大腸がんの多いデンマーク・コペンハーゲンの人たちとの比較でも同じような結果が得られました。摂取する脂肪の種類や食物繊維も大腸がんの発生に関係していることが考えられます。脂肪分の少ない快食と食物繊維による快便が大腸がんの発生を予防する第一歩です。


     脂肪をとり過ぎるとなぜ、大腸がんが発生するのか研究が進められました。まず、脂肪の大量摂取により腸内細菌が増加したり、種類が変化してがんの発生しやすい環境ができます。また、脂肪を摂取すると胆汁の分泌が増加するため、胆汁酸が大量に出されます。胆汁酸が変化(脱水素化)した二次胆汁酸は大腸がんのプロモーター(育ての親)であることが確認されています。さらに、二次胆汁酸は代謝されて女性ホルモンができます。女性ホルモンは乳腺細胞の増殖を促進しますから、発がん物質の作用を受けやすくなり、結果的に乳がんの発生とも関連してきます。


     最近では、これまで善玉と考えられていた不飽和脂肪酸もがんに関連していると考えられています。不飽和脂肪酸が活性酸素と一緒になって遺伝子を傷つける可能性があります。また、リンパ球に作用して、免疫の働きを低下させ、がんの発生しやすい状況ができることも示されています。
 脂肪自体には発がん性はありませんが、がんの発生しやすい環境をつくっていることは間違いないようです。

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