2014年3月24日月曜日

ゴッホの面白いところ

ゴッホの絵の描き方はアルルに移住する前、パリ時代の終わりごろから、大きな変化があったように思われる。

もちろん、モネ達の印象派の明るい色使いや、筆を途中で区切って置いてしまう描き方、新印象派の点描とかの影響もあったろう。

しかし、ゴッホはもろ手を挙げて賛成したわけではなく、ゴーギャンの絵(これは全く描き方が違う)に惚れ込んだりして、独自の道をアルルで探ることになった。

で、ゴーギャンが画家共同体構想に、弟テオの口添えで、(ゴーギャンとしては画商のテオと仲良くありたいという打算があった?)賛成してくれた時は、気持ちの高揚が大きかったと思う。そこで傑作が生まれた。

「家」とか「自分の室内」とか、「椅子」とか「ビリヤードなんかを置いてある飲み屋」とかを描きまくった。
普通、誰も描かないようなもっともつまらない要素とか、ありふれたモデル、日常的なテーマ、現実のその辺にあるかけらを、現実以上の崇高なものに見えるくらいの描写で描き上げた。

その辺のところが、とても面白いと思う。
特にゴーギャンが座る予定だった椅子などは、笑えるけれども「単なる椅子」である。
普通に考えるとくだらないとさえ思えるようなテーマだけど、ゴッホにしてみれば、ゴーギャンが座る椅子なわけだから、とても熱を入れて書き上げたのだと思う。

玉突き場のランプの輝きなど、つまらなくて絵の題材になどする気になれないような場所が、ゴッホの手にかかると、俄然、輝きを増してくる。実際、あんな場所を見たら、ゴッホの絵ほどに感動することはあるまいと思う。

芋虫くらいの長さで、筆を区切って、同じ方向や、あるいは90度も違った方向に、厚塗りで力強く塗っていくという方法は、偶然見つけ出したものか、考えてやったことなのかは分からないけど、ゴッホ特有の絵肌のように思われる。

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